過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(IBS)は、検査で異常が認められないにもかかわらず、便秘や下痢、腹痛、膨満感などの諸症状が慢性的に続く状態のことを言います。特に若い世代で好発する傾向にあり、日本では多くの方が過敏性腸症候群に罹っているとされます。
通勤・通学時や、職場・学校で不安・ストレスを感じた時など、特定の状況で症状が悪化することが多いのが特徴で、ほとんどの場合で排便によって症状が一時的に軽快します。
過敏性腸症候群と機能性消化管障害(FGID)
IBSのように、消化器症状が見られても内視鏡検査(大腸カメラ検査)などで異常が認められない状態のことを総称して「機能性消化管障害(FGID)」と言います。
過敏性腸症候群に「機能性ディスペプシア(FD)」「胃食道逆流症(GERD)」を合わせた3つがFGIDの代表的な疾患です。これらの発症には精神的なストレスが影響を与えることもあり、消化器症状に加えて、抗うつや不安などの精神的な症状が見られることもあります(脳腸相関)。
過敏性腸症候群の主な症状
消化器症状
- 腹痛
- 便通異常(下痢・便秘)
- 腹部膨満感 など
※消化器症状は、排便によって一時的に軽快するケースが多いです
全身・精神症状
- 抗うつ感
- 不安感
- 集中力の低下 など
過敏性腸症候群の原因
症状があっても消化管や臓器には器質的な異常がないので、IBSの具体的な原因は明らかになっていません。腸の運動機能は自律神経が司っているため、ストレスや疲労などによって自律神経が乱れることが原因の1つと考えられています。
消化管や臓器に器質的な異常がないことがほとんどですので、命に関わるような疾患ではありません。しかし、慢性的な症状はQOL(生活の質)を低下させ、快適な日常の妨げになります。適切な治療によって症状の改善が期待できますので、我慢せずに当クリニックまでご相談ください。
過敏性腸症候群の検査
明確な症状があっても、器質的な異常が見られないのがIBSの特徴です。まずは問診によって症状を詳しく伺った上で、必要に応じて各種検査を行います。血液検査や超音波検査、内視鏡検査を行い、他の疾患の可能性が否定された場合に初めて過敏性腸症候群と診断されます。
ただし、IBSと似た症状を引き起こす消化器疾患は多々あります。他院でIBSの治療を受けていても症状が一向に改善しない場合には、一度当クリニックへご相談ください。
過敏性腸症候群の治療
睡眠不足や疲労、不規則な生活などの生活習慣は、IBSを悪化させる原因となります。まずは生活習慣を改善することで、症状の軽快を図ります。食生活の見直しも重要で、香辛料やアルコールの摂取を控えて、食物繊維や発酵食品を積極的に摂ると良いでしょう。
症状や患者様の状態によってはお薬を処方することもあります。消化管の機能を改善させる薬や腸内環境を整える薬のほか、緩下薬や鎮痙薬などを症状に応じて使い分けます。精神症状が見られる場合には、抗うつ剤、抗不安薬を処方して対応することもあります。