機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア(FD)とは?
慢性的な胃の痛みやもたれ、早期膨満感(すぐにお腹がいっぱいになる)などがあるにもかかわらず、胃カメラ検査で異常が認められない場合、これを「機能性ディスペプシア(FD)」と言います。
胃には「貯留(内容物を貯める)」「攪拌(食べ物と胃液を混ぜる)」「排出(十二指腸に送り出す)」という3つの機能がありますが、これらの異常が機能性ディスペプシアの原因と考えられます。
機能性ディスペプシアと機能性消化管障害(FGID)
機能性ディスペプシアは、症状が現れていても検査では消化管に異常が認められない状態です。このように消化器症状が持続しているにもかかわらず、内視鏡検査などで明確な異常が確認されない状態のことを「機能性消化管障害(FGID)」と総称します。
機能性消化管障害の中でも特に頻繁に見られるものには、「機能性ディスペプシア(FD)」「過敏性腸症候群(IBS)」「胃食道逆流症(GERD)」の3つがあります。機能性消化管障害の発症には精神的なストレスも大きな影響を与えるとされ、消化器症状だけでなく、抗うつや不安などの精神的な症状が現れることもあります(脳腸相関)。
機能性ディスペプシアの主な症状
- みぞおちの痛み
- 胸焼け
- げっぷ
- 吐き気
- すぐにおなかいっぱいになる(早期膨満感) など
機能性ディスペプシアの検査
「症状があっても器質的な異常を認められない状態」が機能性ディスペプシアです。腹痛や胸やけなど、何らかの腹部症状があるものの、胃カメラ検査をはじめとした各種検査によって器質的疾患がない場合に機能性ディスペプシアと診断します。
似た症状を引き起こすものに胃炎や胃がん、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などがあるため、これらとの的確な鑑別が重要です。
機能性ディスペプシアの治療
まずは薬物療法によって胃の働きの異常を改善します。処方するお薬には胃酸を抑える薬(胃酸分泌抑制薬)や、消化管の運動を改善させる薬(消化管運動機能改善薬)などがあり、症状によって使い分けます。抗うつや不安感などの精神症状が見られる場合には、抗うつ剤、抗不安薬を処方することもあります。
自律神経の乱れが症状を引き起こしているケースもありますので、規則正しい生活と食生活の見直しなどのアドバイスを行うこともあります。特に香辛料やアルコールの過度な摂取は胃酸の過剰な分泌に繋がりますので、治療中はお控えください。
根気よく治療を続けましょう
症状があっても、消化管に器質的な異常が見られないのが機能性ディスペプシアの特徴です。その原因も多岐にわたるため、薬を服用してもなかなか症状が改善されない場合もあります。
機能性ディスペプシアの治療では、症状が落ち着いた状態(寛解)を保つことが目的ですので、薬の種類や量を変更して根気よく治療を続けることが重要です。